本 2012

「ホットキッド」

エルモア・レナード二冊目読破。
戦争の英雄を父に持つ若き早撃ち連邦執行官と、大金持ち石油業者の息子なのにアウトローに憧れる銀行強盗の対決を描く話。
この二人を中心に肝のすわった美女達や若きライター、大物小物さまざまな悪党などが絡んできます。
思ったのは、レナードって登場人物の配置が大変うまいということ。
人物相関図が大充実なんですね。
都会派犯罪小説の前にはウェスタン書いてただけあって、今作ではその両方の魅力が生かされてます。(★★★★)

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「けいおん!」

映画見て、貸してもらったのが1巻とcollege編。
読んだのには、見事にあずにゃんが出てきません。
内容的には、1巻が好きです。
ちょっとしたあるあるネタがかわいい。
澪ちゃんと律ちゃんのボケツッコミの応酬・逆襲が好きですが、ムギちゃんのぽわわんぶりや、さわちゃんの豹変ぶりも楽しいです。(★★★)

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「身元不明者89号」

初エルモア・レナード。
映画では、「アウト・オブ・サイト」や「ゲット・ショーティ」、「BE COOL」など見ていますが。
軽妙洒脱な内容に、すっごい悪党というよりはこすくて愛嬌のある小悪党がゾロゾロ出てくるあたり、映画と同じテイストです。
面白いです。
でもアルコール依存症についての記述の詳細さには、レナード本人が知るリアリティがあります。(★★★★)

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「血と暴力の国」

「ノーカントリー」の原作。
映画見てからだいぶたってますが、読みながらまんまトミー・リー・ジョーンズが、ジョシュ・ブローリンが、ハビエル・バルデムが、頭の中で動いてくれます。
全く違和感なし、それだけコーエン兄弟が見事に映画化を成功させたということでしょう。
モスが逃げ、凶悪な殺人者シュガー(映画はシガーになってましたっけ)が追い、さらに保安官ベルが追うというクライム・サスペンスの筋立ても抜群の面白さですが、この作品を本当に面白くしているのはベル保安官の嘆きですね。
目の当たりにする事件現場の悲惨さが、彼の理解を超えており、捜査しながら自分の手で何一つ防ぐことのできない無力感。
成し遂げたという充足感もないまま、現場を去ることになる彼だけど、それが彼の保安官としての資質に問題があったのではなく、原因もわからない何か大きな世界的悪の充満に対する怖れと敗北感みたいなもの。
その感触がリアルに感じられるところが、「旨味」になってる感じがします。(★★★★)

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「天使と悪魔」

映画化された時、原作とかなり違うと言われていましたが納得。
四人の枢機卿の話で、四人目の事件から独自の道をとることにしたのですね、映画は。
ローマ教会は実在してますから、原作のままでは確かに問題になりそうともいえますね、大胆すぎて。
「ダヴィンチ・コード」でも物議を醸したし。
でもカメルレンゴについては、原作改変により、その人物像の焦点がぼやけた感があります。
可哀想なカルロ・ヴェントレスカ・・科学と宗教に弄ばれたような人生で。
ところでラングドン役がトム・ハンクスに決まった時、ダン・ブラウンが難色を示したのもわかります(笑)
だってインディ・ジョーンズみたいなんですもん、ブラウンも「ツイードを着たハリソン・フォードのイメージ」と言ったそうだけど(笑)かなりイメージ違いますよ、やっぱり。
構成もしっかりしてるし、「ダヴィンチ~」より面白かったです。(★★★★)

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「夜間飛行」

表題作とサン・テグジュペリの最初の作品「南方郵便機」が収められています。
「南方~」は、ヨーロッパからアフリカへ郵便を運ぶ機の飛行士が、休暇でパリに帰ってきたら、心を満たしてくれるものが何もなくて激しい孤独を抱えてまた飛行機に乗る話です。
一人で砂漠を飛んでいると、ものの見え方が変わってくるということなのでしょう。
恋も宗教も救いにならず、彼は星を頼りに飛ぶのです・・。
「夜間飛行」では、人間らしい?生活を投げ打って孤独なのは、飛行士だけではなく、アフリカからさらに南米まで郵便を運ぶ航空会社支配人もそうだという話です。
自分の手すらも満足に見えない真っ暗な闇の中を飛ぶという、あまりに危険な生業を、生活も命すらも犠牲にして何のためにやるのか?やらせるのか?という探求です。
なぜ空に生きるのか?死といつも隣り合わせにいながら何を求めて?サン・テグジュペリ本人の探求と答えがそこにあります。(★★★★)

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「星の王子さま」

本当に今頃になって読んだのです。
「TOO LATE!!」「いつだって遅すぎるということはない、それも一つの出会いなのだから」二つの声がせめぎあってます(笑)
でも、なぜこの物語がとても愛されているのか、心底納得がいきました。
悲しいようで、美しいようで、でもついいろんなことに忙しくしていると見えてこないようなことが、ある程度の年齢に達してないと理解できない含みをもって綴られています。
「ぼくは、あの花に責任があるんだ」と王子さま・・うん、なるほどね。(★★★★★)

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「悼む人」

新聞や雑誌に載った死者や、自分が遭遇した死者を悼むために全国を旅してまわっている坂築静人。
エログロ記事を売りにしてきた雑誌記者と、末期がんに侵された静人の母と、夫殺しの罪で刑務所から出てきたばかりの女性の三人の話が、静人の旅を浮き彫りにしていきます。
はるか昔は、静人のような人がいたのではないでしょうか・・聖者と呼ばれ巡礼の旅をしていた人が。
でも時は大きく流れ、世の中も変わり、その行為はとても理解されにくいものに。
さらに、死すらも消費される時代になり、考えさせられたり。
でも静人の存在によって浄化された記者、死を受け入れ生を全うした母親、自分の人生に初めて自分で答えを出すことが出来た女性と、悼む行為は死者のためだけでなく、生きている人間にも強い影響を及ぼしています。
どう死んだかではなく、どう生きたか、それも負の部分ではなく正の部分でとらえる・・沢山の死が出てくるけれど、救いと光がある物語です。(★★★★★)

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「IT」

メイン州の街デリーで1958年の洪水の日、11歳のビル・デンブロウの6歳の弟ジョージが、むごい殺され方をしたことから話は始まります。
ビルをはじめ、はみだしクラブ7人組がITと対決した年から27年後、大人になった彼らとITが再び向かい合うという、二つの時空を行ったり来たりする物語ですが、少年期の彼らがあまりに素敵すぎて、大人の彼らが霞むくらい。
「スタンド・バイ・ミー」や「ドリームキャッチャー」、女の子が一人入ったことで「アトランティスのこころ」も思い起こさせますが、キングって少年期を描かせたらピカイチですね。
街に巣食う恐怖の正体は、スケールもとてつもなくでかいし。
ホラーで性的な描写も出てくる作品を、自分の三人の子供達に捧げているというのがいいです。
信じているから出来る・・作品の真髄と人間としてのキングが見事重なってますね。(★★★★)

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「明暗」

文庫本で581ページもある充分な長さなのに、この作品の最大の特徴は、未完であるということでしょう。
話がいよいよ動き出して、遂に佳境にはいるというところで終わっています。
頭もいいし、気もまわるけど、うまく世渡りしようとしてなんだか流され気味になってる感じのする、主人公の津田。
彼の親類とか仕事の上司夫妻とか、いろいろ言ってくる人達が、結婚して一年に満たない津田夫妻という小舟を揺らす川の流れ。
結婚前の津田と愛し合っていたのに、別の男と突然結婚してしまった清子は、津田以上に流されやすい人のようなので、もしかしたら津田を頼りなく感じて離れていったのかも知れないとちょっと思ったり。
津田の妻のお延は、意志が強く、流されそうになったら自らオールをつかみそうな人です。
小林という、津田の変わり者の旧友が出てきますが、彼の場合、川底に沈んじゃってます・・見向きもされないけど、なかなか流されもしない。
このお話、先がどうなるのか読者が推測するしかないのですが、私の場合、悪戦苦闘しているお延のオールを、津田がやっと気づいて手を添え、一緒に握ってやるんじゃないかな~と。
そうなるんだったらいいな~と・・決して結末を知ることは出来ませんが。

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