本 2010

「ヴィヨンの妻」

太宰治の晩年の短編8編からなる作品集。
どれも自己嫌悪と仕事の悩み、家庭に対する苦悩、酒と女、そして自殺願望の影が色濃くて、夫の苦悩と妻の悲痛、けなげな子供・・とやりきれないものではありますし、読みながら「この人は残される者の心の痛みを考えてない」と腹立たしく思ったりもしましたが、相手の苦しみもわかるから余計につらかったんですね、この人は。
とはいえ「ヴィヨンの妻」のさっちゃんのラストのセリフには救いもあります。
その昔、「人間失格」でどよ~んと落ち込んだ記憶があるのですが、今なら読めそうです・・たぶん。
私は、太宰作品なら”私”男性一人称小説が好きです。
「斜陽」や「ヴィヨンの妻」のような女性が語る小説も、文章がはんなりと美しいと思いますが、男性一人称の文のキレのよさは格別です。
というわけで「親友交歓」「父」「母」「家庭の幸福」「桜桃」、この5編がとてもよかったです。
ところで太宰といえば玉川上水、私も「嫌われ松子」と同じく、本物の玉川上水を見て、「これで死ねるの?」と一種の失望を味わった覚えがあります(笑)(★★★★★)

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「夜がはじまるとき」

「夕暮れをすぎて」収録作を前編とした短編集の後編にあたるもの。
さすがは稀代のストーリーテラーと思わせる「N」の語り口のうまさはさすがだし、「魔性の猫」は衝撃的。
でもすば抜けて強烈なのが「どんづまりの窮地」。
想像するだに恐ろしい状況をこれでもかというほど細密に描いていて、間違っても同じ状況を体験したくはないと誰もが思うに違いないです・・。(★★★)

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「夜明け前」

第一部上下巻、第二部上下巻の四冊からなり、他の本と並行して読んでいたら、半年以上かかりました。
とてもさらっとは読めない、大変な歴史大作です。
主人公の青山半蔵は、島崎藤村の父親がモデル。
国学を学び、倒幕維新の頃には同じ平田門人の仲間と共に世のために奔走したかったものの、木曽馬籠の本陣庄屋の長男で家業を継がねばならなかったために断念、維新と共に家業は失われ、夢に描いた新時代はかなわず、最後は座敷牢で狂死するという話。
熱く一生懸命に生き、報われなかった一人の男の物語として、実話がベースだからものすごく説得力がありますし、これが実在の人物だと思うとあまりに切ない・・。
さらに幕末維新の頃の歴史的な部分の記述が細やかで、学問のように一生懸命読んでしまいます(それでも難しかったりしますが)。
かつて覚えた人名や事柄が沢山出てきますが、痛感したのは、それら固有名詞だけ頭に入れていて、歴史としての社会情勢の流れや必然性を全く理解してこなかったこと(^^;;;;;)
反省もふまえて、頭の下がる思いでした。(★★★★)

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「シャーロック・ホームズの冒険」

はるか昔に読み、好きで何度も読んだのですが、鮮明に覚えているもの数編、ホームズのパイプから立ち上る紫煙のように朧に消えてしまったもの数編・・(^^;)
前者は、傑作として名高い「赤毛連盟」、「まだらの紐」、「唇の捩れた男」に「青い紅玉」、「技師の親指」、なぜか回想収録作なのに「シルバーブレイズ」。
このあたりは読みながら「あっ」とか「おおっ」とか子供心に思わされたのでしょうね・・
今読んでもやはり面白いですね。(★★★★★)

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「シャーロック・ホームズの叡智」

新潮文庫では、頁数の関係で割愛した短編8編を一冊にまとめています。
私は「帰還」のみ別の文庫で読んだため、3編は重複して読むことになりました。
それでもどれも面白く読めました。
「ショスコム荘」はグラナダTVのドラマでは、ジュード・ロウが出演してた作品です。
印象深かったので、読んでてもドラマのシーンが甦りました。
そのジュード、ガイ・リッチーの映画版ではとても男前なワトソンです♪
ロバート・ダウニーJr.のホームズも人をくってて好きですが、イメージはやはり痩身で長身、鷲のような鼻、鋭い眼差し、細長い指とジェレミー・ブレットがドンピシャリですね。(★★★)

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「シャーロック・ホームズの事件簿」

短編集としては最後のもの。
恒例のワトソンの記述ではなく、ホームズ本人による記述もあったり、変化に富んでいて面白いです。
中でも異色でよかったのは、ホームズ引退後に本人の筆による「ライオンのたてがみ」。
ストイックな雰囲気が魅力的でした。(★★★★)

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「シャーロック・ホームズ最後の挨拶」

四作目の短編集。
一つ一つ趣向を凝らして書かれているのが強く感じられます。
面白かったのは「瀕死の探偵」。
タネはなんとなく読めるのですが、それでも仕掛けをこれでもかと書き込んでいるのが楽しかったです。
やっぱりホームズいいですわ~。(★★★★)

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「恐怖の谷」

ホームズ長編では四作目、最後の作品。
二部構成になっており、ホームズ大活躍の一部、事件の背景が描かれる二部と、どちらも独立した作品としても読めるほどの充実度。
しかも二部の主人公とホームズの巨悪に闘いを挑む姿勢がそっくりだというのが、なんだかぐっときます。
語り口は穏やかで端正ながら熱い作品で、とても好感が持てます。(★★★★)

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「シャーロック・ホームズの復活」

「シャーロック・ホームズの帰還」と訳されているのも沢山発行されています。
「Return~」ですからね。
やっぱりすっごく面白い!!ホームズが素敵すぎてウットリします。
謎解きに成功しても、人間としての懐の深さを感じさせる結末を演出することにまで気を配る、そんなホームズとワトソンの紳士の振る舞いが目につき、後味も魅力的な作品が数編ありました。(★★★★)

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「四つの署名」

面白くてスイスイ読めてしまいます。
なぜこんなに面白いのかというと、やっぱりホームズという人物がすこぶる魅力的なせいでしょうね・・。
テムズ河のチェイスや真犯人の半生も面白かったですが、ワトソンの恋バナでちょっとロマンティックな味付けもあります。(★★★★)

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