本 2009

「呪われた町」

「呪われた村」(原題「ジェルサレムズ・ロット」)を先に読んでいたので、スッとはいれたこの作品、同じジェルサレムズ・ロットのセイレムズ・ロットという田舎町が吸血鬼によって荒廃していく話です。
これも視覚化してしまえば(されてるようですが)、吸血鬼と人間のグロい対決シーンがどうしても目をひいてしまうに違いありません。
でも文章を追っていて面白かったのは、最初から不気味な気配がうっすら漂っているにも関わらず、前半は町で暮らす人々のごく当たり前な生活が微に入り細に入り丁寧に描写されていて、そのアメリカ的な光景に古色蒼然とした吸血鬼の匂いが絡んできて思いがけぬ?展開をしていくさまです。
吸血鬼と対峙するメンバーの一部のキャラが大変魅力的でもあります。(★★★★)

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「ランゴリアーズ」

中篇作品二作「ランゴリアーズ」と「秘密の窓、秘密の庭」を収録。
後者「シークレット・ウィンドウ」は、ジョニー・デップ主演で映画化されてますが、未見なので、機会があったら是非見たいものです。
とはいえ、もうネタはバレてるし(読んでいてもわりと早く予想がつき、それでも作者がじらすのをややまどろっこしく感じる部分も)、内容より演技見て楽しもうかなという思惑ですが。
「ランゴリアーズ」は面白かったです!
登場人物に、実に個性際立ってる人が多いのが魅力。
話のオチも、最後まで読んできっちり納得がいくと(ダイナとトゥーミーさんの不思議な関係は別として)、ホラーじゃなくてSFみたいな作品だな~と満足できたのですが、これも映像化されるとたぶん変だろうな~・・・。
TV映画化されたのがあるようで、デヴィッド・モースがブライアン・エングル機長をやってるらしいです。
あとはニック・ホープウェルとトゥーミーさん、アルバート・コースナーあたりが気になる役どころですね。(★★★★)

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「機巧童子 ULTIMO」

ストーリー担当がスタン・リーだと言われ、いきなり娘に手渡された一冊。
ダンスタンという謎の老人が作り出したという機巧(からくり)の子供二体。
一人は究極の善ウルティモ、もう一人は究極の悪バイス。
主と決めた人間から学びつつ、時代を超越して出現、究極の戦いの末の勝者は善か悪か見極めたいというのが、ダンスタンの目的とのこと。
まだ一巻なので、ストーリーに関しては何とも言えません。
童子の繰り出すからくり技が、日本的なさまざまな動物の形態やイメージになっており、転生とかの日本趣味はスタン・リーのこだわりという感じがします。
そうそう、絵は武井宏之という人ですが、「シャーマンキング」って私読んでないのでお初です。
ウルティモ、女の子のようですし、童子は皆(とりあえず一巻には三体出てきた)線が細いです。
日本の古いからくり人形は、確かに線が細いですが、あの精巧さや不気味さとは異質な気がします。
ということで一巻読んだところでは・・微妙。(★★★)

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「深夜勤務」

キングの短編集は、これで三冊目になりますが、もしかするとこの作品集が一番面白く読めたかも知れません。
一作一作趣向が凝らしてあって、キング曰く「暗がりで見知らぬ人から受けるキス」とはいわないまでも、ドキドキワクワクで一つずつ読み進みました。
最近映像作品で見た「トラックス」の原作も入っていました。
キング自身が脚本・監督をしたという「地獄のデビルトラック」も機会があったらちょっと見てみたいかも。(★★★★)

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「死のロングウォーク」

スティーヴン・キングがリチャード・バックマン名義で発表した長編作品で、実質的にはキングが大学生時代の執筆なのだそうです。
近未来のアメリカで、選抜された14~16歳の少年百人が、最後の一人になるまでずっと歩き続けるレースに参加するという物語。
制限スピードを下回ると警告され、それが三回になり二分を超えると射殺されるという、なんとも理不尽な耐久レース。
主人公のレイ・ギャラティはごく普通の少年で(体型は大きいですが)、特に勇気があるわけでも負けん気が強いわけでもないというのがいいです。
物語に劇的な変化はないし、どんでん返しもないけれど、とにかく少年達がものすごく個性的で、誰一人ステレオタイプなのはいなくて、本当にキャラクターで読ませてしまう、そういう意味ですごくキングらしい小説です。
ギャラティが三銃士仲間と呼ぶ、頬に大きな傷痕があるピート・マクヴリーズ、南部出身のアート・ベイカーが魅力的で、他にもステビンズ、オルソン、パーコヴィッチなど強く印象に残る少年ばかりですが、彼らの激しい苦悩や憔悴や混乱が、戦場に送り込まれた若者をなんとなく想像させるところが痛ましくて怖いです。(★★★★★)

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「トーマの心臓」萩尾望都

小説版を読んだら、オリジナルの魅力に浸りたいと切望して読み返したもので。
私はエーリクが好きでした。
やんちゃなかわいい男の子が好きだったのです、昔から(笑)
絵的には白ヌキの巻き毛キャラが好きなのですね、大抵(笑)
それからオスカーが好きでした。
オスカーは友人の間でも大人気でしたが、今読み返しても、彼はある意味理想の人物ではないかと思われました。
ユーリは・・彼の苦悩は、常に高みを目指す完全無欠な人物ならではの高尚な一面も持っていますが、彼に加えられた行為そのものは、美しいもの完全なものをぶち壊したいという極めて人間的な(悪魔的ともいいますが)残酷な精神的衝動の象徴でもあります。
私は正直、最後までトーマの真意に同意することが出来ず、これがキリスト教の自己犠牲にあたることはわかっても、まだトーマの行動は自己満足というか説明不足だったように思えてなりません。
エーリクの出現がなければ、それは貫徹しなかったと・・。
読み返して一番心に残ったのは、満たされていないと思って生きていて本当は幸せであることを見落としていること・・「ぼくは幸福ではなかったか?」ユーリの心の声は、この先何歳になっても聞こえてきそうな気がします。(★★★★★)

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「トーマの心臓」森博嗣

萩尾望都のコミックを森博嗣が小説化したもの。
舞台がドイツのギムナジウムから日本に変更されており、でも時代は現代ではないですね・・。
理系大学の教授がドイツ人で、学生にドイツ名のニックネームをつけて呼ぶという設定で、エーリク、ユーリ、オスカー、トーマ、アンテ、サイフリート・・と出てきます。
オスカーのみハーフだから本名だそうな。
語り部は一人称の、そのオスカー。
だからオスカーの心境は克明に綴られているけれど、エーリクや特にユーリの内面はオスカーの想像という形。
美しく澄んだ物語でありますが、原作が大変好きだった自分としては、いろいろ違和感を覚えてしまいました。
自分の味わった作品に、違う解釈をつけられたものを読んでいる時に覚える、あの違和感です。
それに・・・・・あの甘美さがないし(実はこれが大事!!!)。
まずテーマが違いますね、原作は"ユーリのために捧げられたトーマの心臓の音"を解明する物語。
この小説は、"トーマの死によって掻き乱され変わってしまったユーリの心"を解明する物語。

原作読み返しました。
何十年もたってるのに、エーリクもユーリもオスカーも、原作の彼らを一番愛してる自分がいたのでした。(★★★)

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「ルパン対ホームズ」

子供の頃、ホームズ好きだったのでタイトルにひかれて読んだのですが、「ルパンの作者が書いてるからルパンばかりかわいがってる!これはホームズじゃない!」と憤慨した記憶があります(笑)
大人になって再挑戦?したわけですが、ちゃんと両者に華を持たせる作りになってたなあ・・と思いました(笑)
とはいえワトソンが重傷を負って戦線離脱してしまうあたり、一騎打ちさせたかった作者の思惑がはっきり出てるといえるでしょう。
だめですよ、ワトソンつぶしちゃ~。(★★★★)

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「金色のガッシュ!!」

全33巻からなるコミックス。
娘が小学生の頃好きで、手持ちのコミックを最近一冊ずつ貸してくれてるうち、とうとう全巻揃えてしまい、私も全部読んでしまいました。
原画紛失で、作者が小学館相手に訴訟を起こした件の記憶もまだ新しいですが・・でもこれは名作です。
作者と出版社の関係は、ガッシュと清麿のようにはいかなかったのかな・・(^^;)

千年に一度、百人の魔物の子が次期王を決めるために最後の一人になるまで戦うお話で、魔物の子達は人間界に送り込まれ、魔物の本を読んで心の力で術を発動させることが出来るパートナーを見つけ、共に戦わなくてはなりません。
ということで、最後がどうなるかは大体見えてるような設定ではありますが、魔物にしろパートナーの人間にしろ、一人一人愛をこめて丁寧に描かれており、魅力的なキャラクター多数、そのあふれる思いには泣かされます。
本当にグッとくるいい話が多い。
天真爛漫、愛らしい主人公のガッシュに、そのパートナー、天才的な頭脳の持ち主のくせに本来熱い少年清麿。
私のお気に入りBEST3は、ガッシュ、ウマゴン、キャンチョメ。
人間ではキャンチョメのパートナー、フォルゴレ。
キャンチョメとフォルゴレにはいい話が多く、容姿はいたってユニークながらどんどんかわいくなっていくキャンチョメに、最初から最後までたまらなくいいヤツで惚れこんでしまったフォルゴレ。
笑える部分もたっぷりで、ワタシ的にツボったのでは、スティングモデルのステング、レオナルド・ディカプリオモデルのパピプリオ、ウーピー・ゴールドバーグモデルのルーパー、トミー・リー・ジョーンズモデルのTMリーなんてのも出てきました(爆)(★★★★★)

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「怪盗紳士」

アルセーヌ・ルパン・・やっぱりスマートで面白いですねえ。
短編集ですが、どの話も趣向が凝らされていて飽きさせません。
映画「ルパン」にもモチーフとして使われた、「女王の首飾り」や「遅かりしシャーロック・ホームズ」(映画にホームズは出てきませんが)にも、ニヤリとさせられました。(★★★★)

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